- 藤本 淳也 先生
- 大阪体育大学 スポーツ科学部
- ところでユカは今回はいつもより気合が入っているような気がするけど…
- 今度の試合は3年生の最後の試合なんです。
ケガを乗り越えてここまでやってきた先輩もいて…
だから一人でも多くの人に応援してほしくて。
- そうなんだね。じゃあぜひ観に来て欲しいよね。
ところでユカちゃんは「みんな」に応援に来てほしい、と言っているけど、応援に来てくれる可能性が最も高いのは誰だと思う?
- うーん…やっぱり、先輩が頑張ってきたのを知ってる人じゃないかな
- チームのOBや3年生の先輩の友達や、その家族の人、学校の先生とか…かな?
そうだね。その人たちには、ぜひ来て欲しいね。ところで、その人たちは、今度の試合のことをどこまで知っているの?
- あ…どうだろう…?
みんな最後の試合だって知らないかも…!
- 人を集めたいときはまず、「集まってくれる可能性の高い人は誰か」「どんな人に集まって欲しいか」をはっきりさせることが大切なんだ。そして、その人たちにその試合の「価値」を「伝えること」。
これは「マーケティング」の基本的な考え方なんだ。
観客を集める「マーケティング」
-
可能性の高いのは誰?
来て欲しいのは誰?- チームの選手の家族
- チームの選手の友達
- チームのOB
-
試合の価値を伝える
- 高校生活最後の試合
- ケガを乗り越えて頑張る先輩
- 因縁のライバル対決
- 確かに、校内に告知のポスターに試合会場と時間を示すだけだと、試合の「価値」は伝わりにくいですね。ぜひ来て欲しい人たちにきちんと価値を伝えるのが重要なんですね。
- そういえば隣の高校は、チームメンバーの友達や家族がいっぱい来てた気がする…!
- まずは先輩たちに、友達や家族に「最後の試合だからぜひ見に来て欲しい」と「伝えてもらう」のも効果的な方法のひとつなんだよ。彼らは、影響力の大きい「インフルエンサー」だからね。
- そうなんですね。そうなると、私が頑張ってできることって少ないのかなぁ…
-
いやいやそんなことはないよ。このようなマーケティング活動には、全体を統括する人が必要だからね、ユカちゃん!
それに、来てくれた人は、行くと楽しいよ!大勢で盛り上がれるよ!とわかると「また観に行こうかな?」って人も増えるんだ。
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最近はプロスポーツ観戦でも、お揃いのユニフォームでキメてインスタに投稿したりする子が増えましたね。
「●●女子」とか。スポーツ自体にはそんなに詳しくなくても、がんばる選手を応援して盛り上がったり。
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そうそう。楽しめる場の演出やしかけも大事なんだよ。
「試合会場」という「空間のマネジメント」だね。
楽しいと思った人たちは、SNSに写真をアップしてくれたり、次に誰かを誘ってきてくれるかもしれないね。
楽しさの演出やしかけ
応援したい人を、楽しく応援できる。
- 手作りの応援グッズを使って応援する。
- 応援団が一緒に応援。応援の仕方を知らなくても楽しめる。
- チームカラーの服をみんなで着てくる。
行って楽しかった!という経験のシェア、SNSなどの活用も。友達と楽しめる。
- なるほど…!イベントっぽくすると身近な人だけではなくって、「楽しそう」と思ってくれる人も集まってくれそうです。「マーケティング」や「マネジメント」の考え方って面白いですね。
-
そうだね。試合の価値や観戦の楽しさを「誰に」「どうやって伝え、届けるか?」はプロスポーツの集客でもとても大事なんだよ。
ちょっとしたやり方で人の集まり方にも差が出たりするんだ。そこが面白いんだけどね。ユカちゃんもがんばってみてね。
- はい!頑張ってみます!
ワンポイント
マーケティングでは
「誰に」「何を」「どうやって」が大事!
- 誰に
- 「来てくれる可能性が高いのは誰?」
- 「来てほしい人はどんな人?」
- ※「みんな」ではなく具体的な「ターゲットマーケット」を設定することが重要。
それでその人たちに「何を」「どうやって」伝え、届けるのかが決まる。
- 何を
- 「その試合の価値を」
- 「試合観戦や応援の楽しさを」
- どうやって
- 「招待券の活用」
- 「いろいろな手法で価値を伝える」
- 「選手自身が誘う」
- 「行く理由を作ってあげる」
- 「楽しい演出」
- 「応援グッズ」
- 「チームカラーで応援」
- 「SNSでの配信」
まずは身近な人から
みんなに来てもらいたい…ではなく「来て欲しい」対象者がだれなのか?を決めることが重要。それでどんなPRや演出をするかも決まる。
「招待券」を渡してみる
「入場無料」のイベントであっても、
あえて「招待券」を渡すことで特別感が生まれ、ぜひ観に行こうという気持ちが大きくなる。