第3回関西スポーツ振興シンポジウム「スポーツを通じたウェルビーイング向上への貢献」が12月9日(月)、大阪市北区のナレッジキャピタル?ナレッジシアターで開催されました。パネルディスカッションでは一般社団法人大学スポーツコンソーシアムKANSAI(KCAA)副会長の大阪体育大学スポーツ科学部?藤本淳也教授(スポーツマーケティング)がファシリテーターを務めました。
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シンポジウムには大阪?関西万博のマスコット「ミャクミャク」(右端)、ワールドマスターズゲームズ関西の「スフラ」(左端)も登場
関西スポーツ振興シンポジウムは公益社団法人関西経済連合会、関西広域連合、KCAAの主催。財界?行政?大学スポーツ界が一体になり、関西におけるスポーツ振興へ取り組みの理解を促進し、次のアクションにつなげる意見交換の場として開かれています。第3回は、スポーツによる身心の健康増進に向けた取り組みの共有、課題や今後の展望などについて意見交換し、リモートを含めて約200人が参加しました。
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冒頭に日本国際博覧会協会(万博協会)副会長も務める関経連の松本正義会長が「来年はいのち輝く未来社会のデザインをテーマにした大阪?関西万博が、2027年にはワールドマスターズゲームズ関西が開かれます。本日の議論が関西挙げての今後の取り組みに活かされ、スポーツの持つ力や可能性を伸ばしていくことを期待します」とあいさつ。関西広域連合長の三日月大造滋賀県知事のあいさつが代読されました。
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松本正義会長
続いて、スポーツ庁の中村宇一健康スポーツ課長が「スポーツを通じたライフパフォーマンス向上のための取組」と題して基調講演。「Sport in Lifeコンソーシアム」の推進や「スポーツエール?カンパニー」の認定、女性のスポーツ参加サポートページの創設などの取り組みを紹介し、今後の課題を展望しました。
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中村宇一さん
関西スポーツ医?科学サポートコンソーシアム?アドミニストレーターの馬渕博行京都トレーニングセンターセンター長は関経連の取り組みなどを基に2023年、日本で初めて府県を超えたスポーツ医?科学サポートコンソーシアムを設立し、大阪体育大学など5大学と京都トレーニングセンターを拠点に、アスリートへの測定と相談などの支援事業やデータベースの構築、広報啓発活動などを実施している現状について報告しました。
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馬渕博行さん
パネルディスカッションでは、藤本教授がファシリテーターを務め、株式会社アシックスの甲田知子常務執行役員マーケティング統括部長、北京?リオデジャネイロ五輪柔道銅メダリストの中村美里さん、東京?パリパラリンピック競泳金メダリストの木村敬一さんがパネリストを務めました。3人は自身によるスポーツとウェルビーイングやウェルビーイング向上に向けた取り組みについて話し合った後、経済界に期待することをテーマに議論。まず、藤本教授が、関経連が2018年に策定した「関西スポーツ振興ビジョン」について「経済界がスポーツ振興を目的にしたビジョンを掲げるのは、我々スポーツ界の人間にとってはうれしいこと」としたうえで、大学スポーツを起点としてスポーツ産業や健康コミュニティの創生をめざすKCAAの「Next5構想」を説明しました。
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藤本淳也教授
そのうえで3人の議論に移り、中村さんは「スポーツの側が活動やイベントを継続するには資金の確保が欠かせない。どうすれば企業とつながることができるのか考えたい。また企業にとってのメリットをスポーツ界が企業側とすり合わせていくことが必要」、木村さんが「パラスポーツも一部の情熱ある人の力でようやく回っているのが現状。パラスポーツが一つのエンタメにもなれるよう経済界の力を借りていきたい」などと選手側の立場から、企業との連携の必要性を強調しました。甲田さんは「企業はスポーツにお金を支出するだけの立場ではだめで、いっしょに作る意識が重要。またスポーツ側は企業が支援することで、企業価値がどれだけ上げられるかも考えてほしい」と企業側の視点で語りました。
会場からは、元マラソン選手でスポーツジャーナリストの増田明美さんから質問が寄せられました。
最後にKCAA会長の伊坂忠夫?立命館大学副学長があいさつして閉会しました。
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甲田知子さん
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中村美里さん
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木村敬一さん
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伊坂忠夫会長