一般社団法人全国体育スポーツ系大学協議会が12月13日(金)、大阪市内のホテルで就職担当者連絡協議会を開き、大阪体育大学の卒業生によるパネルディスカッションが実施されました。「体育系大学出身学生の未来」をテーマに、日刊スポーツ新聞大阪本社の寺尾博和編集委員、株式会社ルネサンスの望月美佐緒取締役副社長執行役員、川村義肢株式会社の川村慶代表取締役社長、三重県立昴学園高校野球部監督の東(ひがし)拓司教諭が活発な意見を交わしました。
同協議会は54大学が加盟。毎年持ち回りで協議会を開催しており、今年度は大阪体育大学が幹事校を務めました。
大阪体育大学キャリア支援部は企業?公務員などをめざすキャリア支援センター、教員採用試験合格をめざす教職支援センターに分かれます。全学生1人1人と個人面談をし、1対1の徹底したキャリアサポートが特徴。職員がほぼ全学生の顔と名前を覚えるほどの手厚い体制で就職活動を支援しています。
会には23大学が参加した。原田宗彦学長が「昨今、アスリート人材の粘り強さや突破力、コミュニケーション能力の高さが評価されている。全国の体育?スポーツ系大学が一丸となって新しいキャリア戦略を作っていただきたい」とあいさつした後、パネルディスカッションに移りました。
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寺尾博和編集委員
寺尾編集委員は1986年卒業で硬式野球部出身。人気コラム「寺尾で候」などで知られる著名なスポーツ記者です。望月副社長は1984年卒業、ハンドボール部出身で、スポーツクラブ事業大手?ルネサンスで新規事業開発、人材育成などに従事。川村社長は1992年卒業、アメリカンフットボール部出身で、義足?装具制作などパラアスリート支援で注目を集めています。東教諭は2000年卒業、硬式野球部出身。前任の白山高校を初の甲子園に導き、TBS日曜劇場『下剋上球児』で鈴木亮平さんが演じた主人公のモデルとなりました。
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望月美佐緒副社長
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川村慶社長
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東拓司教諭
パネルディスカッションは寺尾編集委員が進行役を務めました。スポーツの持つ力について、望月副社長は「ハンドボールを続けるために体大に進んだことが私の一番の転機。何かにチャレンジすることはスポーツでは当たり前で、挫折から立ち直る力をスポーツで鍛えることはあるが、この力を社会に進んでから醸成することは難しい。スポーツでの経験はビジネスにものすごく影響している」、川村社長は「パラアスリートのパフォーマンスを最大限に発揮することがうちの会社の仕事。アスリートが最高のパフォーマンスをすることは他の障害者にも勇気を与え、国民全体を元気にする。スポーツにはそんな力がある」、東監督は「前任の白山高校では4年間1年生の学年主任を務め、学校に来る目的を持ってもらうためクラブへの参加を呼びかけた。加入率は5%から最後は80%に上がって、県大会で1勝するクラブも出始め、すると、生徒が学校に誇りを持てるようになった」と自らの経験をもとに語りました。
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原田宗彦学長
また、体育?スポーツ系の学生に求めることとして、川村さんは「現在の学生はゆとりを大切にし、それはとても重要なことだが、そのゆとりを何に使うかを考えてほしい。また、私は周囲に『助けて』と言える学生を採用するようにしている。『助けて』と言える人は普段から周囲を助けている人。自分ひとりでできることなど何もなく、『みんなでやろうや』という意識を大切にしている」、東教諭は「将来、何をめざすかは高校生も含めてなかなか定まらないだろうが、しっかり自分の進む道を考えてほしい」と話しました。望月副社長は「楽しく働きたいという学生の声をよく聞くが、自分にとっての楽しいこととは何なのか自分自身に聞けていない人も多いのではないか。楽しいとは何かを言語化したうえで、進路を考えることが重要」とし、さらに「採用する側の私たちやキャリア支援をする大人がチャレンジしていないのに、学生にそれを求めることはできない。学生は私たちをよく見ている。私たち自身がチャレンジすることが大切」と指摘しました。
寺尾編集委員は「日本プロフェッショナル野球協約にも書いてあるように、スポーツは人生を豊かにする社会の文化的公共財だと思う。初代副学長の大島鎌吉氏が提唱したスポーツの力で社会に奉仕できる人材の育成という原点に立ち返り、教職員、OB?OGがオール体大で体大スピリッツを守って社会に貢献する人材を育成していきたい」と語りました。
この後、参加者は各グループに分かれて「コロナ後の学生支援のあり方」「LGBTQの学生支援」「AIとの共存」「障がいを持った学生の支援」をテーマに、グループ討議に臨みました。
浪商学園の野田賢治理事長が閉会のあいさつ、仙台大学?髙橋仁学長が次年度幹事校あいさつを述べ、その後、参加者は立食形式の情報交換会でキャリア支援のあり方などについて活発に意見を交わしました。
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野田賢治理事長
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仙台大学?髙橋仁学長
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