前人未到のインカレ11連覇を達成した大阪体育大学ハンドボール部女子の優勝祝賀会が1月4日(土)、大阪市北区のウェスティンホテル大阪で開かれました。女子日本代表監督も兼任し日本のハンドボール界をけん引してきた監督のスポーツ科学部?楠本繁生教授は「ラグビー、バスケットボール――。体大の教職員は本当に熱い人ばかりで、そんな人たちの力をいっぱいもらった。体大っていいとこやなと思う」と目に涙。日本代表の石川空選手(体育学部4年、大分鶴崎)も「楠本先生。選手一人ひとりを常に見て、厳しく愛情を持って指導していただきありがとうございます」と声を詰まらせました。リーグHなどの男女チーム代表者からインカレ準優勝の男子も含めて祝福の言葉が贈られ、祝賀会は連覇の継続とともに、日本ハンドボール界のさらなる発展を誓う場となりました。
◆日本代表の大半が大体大OG 大阪体育大学ハンドボール部女子は昨年11月、広島市で開かれた高松宮記念杯女子第60回全日本学生ハンドボール選手権大会の決勝で、筑波大学を36―30で降し、11大会連続12回目の優勝を果たしました。
ハンドボール部女子は1967年創部。京都?洛北高校で全国高校総体7回優勝の楠本教授が2010年監督に就任し、全日本インカレは同年に準優勝、11年に初優勝。13年から連覇を継続し、2018年に男女を通じた最長連覇新記録となる6連覇を達成。以後、記録を更新し続けています。21年東京五輪では本学卒業生6名が出場。楠本監督が率いた2024年4月のパリ五輪世界最終予選では、メンバー20名のうち現役学生の石川選手、吉野珊珠選手(体育学部4年、名古屋経済大学市邨)のほか、卒業生13名が参加しました。
◆270人が11連覇祝う 祝賀会には大学やハンドボール関係者、卒業生ら約270人が参加しました。コーチの田中良講師、副部長の平川武仁教授が司会を務め、例年とは趣向を変えて選手が先に登壇してスタートしました。
原田宗彦学長はあいさつで「日本のスポーツを取り巻く世界の壁は厚いが、女子ハンドボールはアジアで勝ち、これからヨーロッパのしっぽをつかみながら一流のスポーツになっていく予感がある。その原動力になっているのは大阪体育大学の卒業生であり、11連覇は明るい未来を指し示しているのではないか」とハンドボールの未来に期待しました。浪商学園?野田賢治理事長は「今一番プレッシャーを感じているのは3回生だと思う。春に来る新入生も含めて新チームでぜひ12連覇を達成し、来年の正月もこの場を迎えることを祈念している」とあいさつしました。
ハンドボール部OB会の斉喜俊也会長が「大きな重圧の中チーム一丸の優勝で、今年も大きな感動をたくさんもらった。また、男子も準優勝と健闘した」と乾杯の発声で語りました。
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原田宗彦学長
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野田賢治理事長
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斉喜俊也OB会長
◆来賓「強いの一言」 来賓から力強い祝辞が贈られました。日本ハンドボール協会の荷川取義浩ハイパフォーマンスディレクターは「大会では、現役の学生が堅守速攻で他を圧倒する強さを発揮したが、OGもすごい。12月のアジア選手権では卒業生6名が活躍し、20年ぶり2回目の優勝を達成。日本選手権決勝は香川銀行で卒業生8名、ソニーで5名が出場し、大阪体育大学のOG戦のようだった。男子も荒瀬廉選手(体育学部4年)が世界選手権代表に選ばれた。今後も男女とも1人でも多くの日本代表を送り出してほしい」と大体大の日本代表への貢献を強調しました。一方、関西学生ハンドボール連盟の加納庸光理事長はシンプル。「昨年もこの場で連覇について話したが、今年はひと言であいさつを終わる。『強い。本当に強い』」
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荷川取義浩氏
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加納庸光氏
◆インカレ準優勝の男子を祝福 祝賀会では、身長差など体格面のハンディをスピーディーな試合運びで補い、堂々のインカレ準優勝を飾った男子も紹介されました。選手が登壇し、下川真良監督が「『走り切る』をスローガンに掲げ、インカレは攻撃70回以上を目標にし、66回だった決勝の中央大学戦以外は70回以上攻撃し、しっかり走れた。近年、インカレではすべて中央大学に敗れているが、楠本先生に学んで今後につなげたい。準優勝まで連れて来てくれた選手に感謝したい」と選手をたたえました。
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ハンドボール部男子
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◆リーグH各チームが祝福 祝賀会には、リーグHなど各チームの関係者も参加。男子は、堺リエゾン大阪、安芸高田わくながハンドボールクラブ、ゴールデンウルヴス福岡、レッドトルネードSAGA、ブレイヴキングス刈谷、女子は北國ハニービー石川、飛騨高山ブラックブルズ岐阜、HC名古屋、大阪ラヴィッツ、イズミメイプルレッズ広島、香川銀行シラソル香川、熊本ビューストピンディーズ、ブルーサクヤ鹿児島、ザ?テラスホテルズラティーダ琉球、デレフォーレ岡山の代表者が登壇し、あいさつしました。この中で、女子日本選手権で初優勝した香川銀行の亀井好弘監督は「スポーツには人と人を結びつける力があることを楠本先生から感じる。楠本先生を見習って日本選手権で連覇をめざし、決勝で大阪体育大学との対戦を実現したい」と声を詰まらせながら語りました。
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男子各チームの代表者
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女子各チームの代表者
◆石川選手が涙声で恩師に感謝 会は終盤に差し掛かり、選手?スタッフへの質問コーナー、インカレまでの軌跡をまとめた映像放映の後、選手が壇上に上がり、石川選手が選手を代表してあいさつしました。「インカレ11連覇と『誰が出ても遜色のないチーム』を作ることを目標に新チームがスタートし、キャプテンを置かずにチームを作った。キャプテンを置かないことで、他に頼ることなく一人ひとりがチームとして何が必要かを考え、行動に起こすことができた。偉大な先輩が築いた連覇をつなぐことができて本当にうれしい」と、新チーム始動から11連覇達成までを振り返りました。続いて、「楠本先生。新チームがスタートして史上最悪と言われ、本当に頼りない4年生でしたが」とまで話した後、涙で言葉が続かなくなりました。「すいません」と間を置き、「自分たちに何が必要か選手一人ひとりを常に見て、厳しく愛情を持って指導していただきありがとうございます。楠本先生と4年間一緒に戦えたことは自分の残りの人生において大きな財産になりました」と恩師に感謝しました。
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石川空選手
◆楠本監督の目にも涙 楠本監督はあいさつで、まず12連覇の重圧がかかる3年生について、「今年、4年生が羽ばたいて、部は新しいチームになる。3年生以下は12連覇よりも勝つチームを作るのかどうかを考えてほしい。本気になってやるのならぼくもサポートしたい」と話しました。その後、「今日も体大のいろんな教職員が来ている。ラグビー、バスケットボール――。ぼくも皆さんに支えていただいて、もう少し頑張ろうと思う。体大の教職員は本当に熱い人ばかりで、そんな人の力をいっぱいもらった。体大っていいとこやなと思う。引き続き応援をよろしくお願いします」と時折声を詰まらせながら話しました。
最後に部長の小林博隆准教授が「祝賀会で皆様と3時間を共有でき、私たちにとって幸せのひとときだった。日本選手権で活躍する卒業生を見て、学生には大学4年間だけでなくその先があることを強く感じた。連覇に向けて1勝1勝を積み重ねていくことが、さらなる成長につながると思う」と閉会の辞を述べました。
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楠本繁生監督
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小林博隆部長
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司会の田中良コーチ
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司会の平川武仁副部長
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選手への質問コーナーで回答する比嘉楓選手
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