コミュニケーション能力、リーダーシップなど社会活動に不可欠とされる「非認知能力」。企業の人事担当などから大阪体育大学生の特性としてその高さをしばしば指摘されますが、初めて数値で裏付けられました。
大阪体育大学は、社会で求められる汎用的な能力、態度などを測定する民間テストの「PROG」(Progress Report on Generic Skills、汎用的スキルに関する進捗報告)をスポーツ科学(体育)、教育両学部の1、3年生が受験し、その結果が3月24日、報告されました。非認知能力を示す「コンピテンシー」(行動特性)では、3年生は調査に参加した私立大学の平均(226校)を0.7上回る3.8。担当者は「3.8を超える大学は数校しかなく、極めて高い数値」としています。

PROGの結果が教職員に説明された
PROGは河合塾と株式会社リアセックが共同開発しました。設問への回答を独自に採点し、リテラシー(知識を活用する力)、コンピテンシーを測定します。傾向として、入学時の難易度が高いほどリテラシーは高いが、コンピテンシーはさほど差は見られません。就職では、優良企業(JPX日経400)とそれ以外の企業に就職した学生のスコアを比較すると、リテラシーはほとんど差異がないが、優良企業就職者はコンピテンシーのスコアが高くなっています。
コンピテンシーには、他の人と信頼を築きチームとして動かす「対人基礎力」、自分の感情ややる気をコントロールする「対自己基礎力」、課題解決に向けた行動を考え起こす「対課題基礎力」の3領域があり、就職では特に対人基礎力、対自己基礎力でスコアの差が大きくなっています。
「非認知能力」(non-cognitive skills)は日常生活?社会活動で重要な影響を及ぼす能力を意味します。具体的にはコミュニケーション能力、リーダーシップ、粘り強さなどが挙げられます。企業の人事担当者、教育現場の管理職などから重視され、大体大生の特質として強く指摘されています。リアセック社の根本康宏ソリューションプランナーは「コンピテンシーは非認知能力を示す指標」と話しています。
大阪体育大学は、1年生は昨年4月、3年生は体育学部が12~1月、教育学部は7月、PROGを受験しました。全学部の3年生が受験したのは今年度が初めてです。

PROGのコンピテンシーは、3年生全体では3.8、うち体育学部は3.7、教育学部は3.9で、調査に参加した私立大学の3年生平均(226校)の3.1を大きく上回りました。体育学系平均3.6、教育系平均3.3よりも高かった。
また、3領域の中で「対人基礎力」が平均の3.3に対し4.0(体育学部4.0、教育学部4.2)、「対自己基礎力」が平均の3.3に対し4.1(体育4.0、教育4.4)と突出して高くなりました。
1年生全体では3.7(スポーツ科学3.7、教育3.8)で、私立大1年生平均(237校)の3.1を大きく上回りました。
根本氏は「3.8を上回る大学は参加した226校でも数校程度で、極めて高いデータだ。就職などでかなり良い影響を与えているのではないか」と分析しています。
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