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2025.03.31

本学卒の中日?松葉投手が通算1000投球回 中野GMが教え子を讃える ロングインタビュー再掲

 プロ野球中日ドラゴンズの松葉貴大投手(34)が3月29日の横浜DeNA戦に先発し、7回を2安打無失点に抑え、通算49勝目を挙げました。また、プロ野球372人目となる通算投球回を達成しました。
 松葉投手は東洋大姫路、大阪体育大学出身。目を見張る球威がある分けではありませんが、丹念に低めを突いて白星を重ねた苦労人です。

中日?松葉貴大投手(2022年12月撮影)

 大体大の監督だった中野和彦?現大体大GMは「1000投球回は努力の甲斐あって達成した価値ある記録。外野手として入学し、投手に転向して結果を出すなど努力をいとわなかった」と教え子を讃えます。
 当時、同級生の宮川将(元楽天)とエースの座を競い合いました。宮川がグラウンドを10周走れば、20周走りました。中野GMは「ランニングが必要だと思ったら、2時間でも走っていた。とにかく野球に対し貪欲だった」と振り返ります。

 松葉投手はドラフト1位でオリックスに入団し、壁に直面すると、中日への移籍を機に打たせて取る投球スタイルに生まれ変わり、復活しました。いっそうの活躍を祈念し、2022年冬の大体大マガジン「OUHSジャーナル」のインタビュー記事を掲載します。

松葉投手を指導した中野和彦GM

移籍を機に剛から柔の投球へ プロは「自己責任」問われる場
中日ドラゴンズ?松葉貴大投手

 高校時代にひじを痛めて諦めた投手に大学で復帰し、投げることができる喜びを味わう。プロの世界では3年目に厳しさ、難しさに直面したが、トレードを機に環境を変え、自分が変わることに成功。先発陣の一角としてチームを支える。

――東洋大姫路高校3年の春、センバツ4強。大阪体育大学に進んだ理由は
 プロは、同学年にレベルの高い選手が多数いて難しいと思っていました。自分がなりたい職業は何だろうかと考えると、学校の先生。高校のコーチや先輩に体大OBがいて勧めてくれたのもあり、決めました。
――本学の野球部はどんなところ
 部員が200人以上いて競争が激しく、実力のある選手が多かったですね。同級生に宮川将投手(元楽天)、後輩には酒居知史投手(現楽天)がいました。
――高校1年の時、ひじを痛めて外野手に転向。大学で投手に復帰した分けは
 1年の春、ライバル校の左腕対策として左腕の自分が打撃投手を務めました。その時、自分でも驚くようなボールを投げられた。先輩から「投手をやった方がいい」と言われ、何日か考えて、自分が最初にやりたかったポジションに戻ると決めました。再びマウンドに立って一番に感じたことは、恐怖心。でも痛みが出なかったことがうれしく、また投げられる喜びを感じながらマウンドに立ち続けました。
――2年春、3年春秋にリーグ戦で優勝し、リーグ通算31勝。2012年秋のドラフトでオリックスから1位指名。プロに入って感じたことは
 毎年、ドラフトで自分と同じかそれ以上の才能が入ってくる。その中で勝ち残らないといけない。金子千尋さん(2010、14年最多勝)、平野佳寿さん(2014年最多セーブ)らは体格もすごいですが、練習に取り組む姿勢が超一流でした。
――1年目に4勝、2年目は8勝と順調に白星を重ねた
 2年目は先発ローテも守り大きく飛躍できるかもと思いましたが、3年目にプロの厳しさ、難しさを痛感しました。相手の対応力です。抑え込んでいた打者に打たれ、戸惑い、苦しみました。
――7年目の2019年、シーズン途中にトレードで中日に移籍。トレードを告げられた時の気持ちは
 単純にうれしかった。その年は先発ローテに入ったのですが、勝てずに2軍落ち。山本由伸投手が台頭してきたころ。自分を変えなければいけないと葛藤していた時期です。自分なりに技術的なことも含めていろいろ試したが、結果が出ない。「環境を変えるしかない」と思っていた時のトレードでした。
――トレードで環境は変わったか
 新しい指導者やチームメートの出会いは大きかった。それまで自分はコントロールはアバウトで、ボールの勢いで勝負するタイプでした。しかしコーチから「松葉はそういうピッチャーじゃないんだよな」と。はっと気づかされました。コースを丁寧に突くスタイルに取り組みました。
――翌2020年、移籍後初勝利
 シーズン初先発となった7月のDeNA戦です。オリックス時代は「今日打たれたら2軍かな」などとマイナスの気持ちを抱えてマウンドに上がっていました。この時の先発では「今年だめならクビ」と自分でも覚悟を決めて、緊張せず開き直れたと思います。
――2021、2022年といずれも6勝。安定した成績を収めている
 2020年に投球スタイルを変え、ドラゴンズで投手を続けていくための土台というか基盤を作りました。そこに、自分なりの良さを毎年、加味していきたい。今年はすべての球種でストライクを取ることを心掛けました。
――プロで選手を続けていくために、本学時代に経験したことは役立っていますか
 体大の野球部は監督に指示されるのではなく、練習では自分で考え自分で行動する環境が他大学に比べてとりわけ強いと思います。自分で考える意識はプロで役立っています。
――改めてプロとはどんな世界か
 責任が問われる場所です。結果を出す出さないは自己責任で、コーチに責任はありません。結果が出なければ、給料は下がるし職を失う。会社員では考えられないでしょうが、普通に働いていてはだめな世界です。逆に自分が結果を出せば同じポジションの選手が職を失うことにもつながり、残酷な世界でもあります。
――プロ選手にせよ企業人、教師にせよ、学生は卒業後、それぞれ進んだ道を極めていくことになります。学生へのアドバイスを
 やはり一番大切なのは、まず学生生活を楽しむことです。そのうえで大学を巣立っていろんな業種についていく中で、覚悟を持ってその職業に取り組むことが、それぞれの世界で大きく飛躍していくために必要になると思います。

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