昨年の結果から得られたこと
男子体操競技 田部壮一郎(現宮崎県スポーツ協会/宮崎ひなたGYM)
昨年の8月23~26日に鹿児島アリーナで行われた、第78回全日本学生体操競技選手権大会(全日本インカレ)において種目別つり輪で優勝することができた。団体では6位、個人総合では8位という結果だった。チームの目標にしていた団体4位入賞、個人の目標としていた個人総合優勝には届かなかった。しかし、高い目標を掲げ練習し試合に臨んだことで、種目別の優勝に繋がったと思う。

田部壮一郎
一昨年の全日本インカレは団体9位という結果で終えた。チームが代替わりをし、私たちが最高学年となった昨年度9月から、全日本インカレ団体4位、個人総合優勝という目標を立てて練習に取り組んできた。試合期に入る前には、対抗戦や合宿の機会を作っていただき、早い段階から演技を組み立てていくことに力を入れることができた。そして試合期に入り、関西インカレ、西日本インカレと共に団体優勝を果たした。西日本インカレ団体優勝は、30年ぶりとのことだったためとても快挙だと感じ、全日本インカレに向けて良いスタートをきれた気がした。個人総合の成績も私が2位で、1つ下の築山(翔馬)が優勝を果たした。後輩の大きな力のおかげで、30年ぶり2度目の優勝を果たせたと感じた。しかし、そこから順調に全日本インカレに向かうことはできなかった。メンバーの調子が合わなかったり、痛いところが出たりし、試合の3週間前まで西日本インカレのメンバーで練習をすることができなかった。そのことが目標に届かなかった原因の1つでもあると感じた。しかし、会場入りをすると全員の調子も上がっていき、試合ではミスがあったものの、それをチーム6人でカバーし合いながら試合運びをすることができた。それだけに、もっと前からチーム練習が詰めてできていたら、更にいい試合ができて目標に届いていたのではないかと悔いが残る。

個人としての昨年の一年間は、全日本インカレのつり輪で優勝できたものの、あまりうまくいかない一年間であった。昨年の春に行われた全日本体操個人総合選手権では、個人上位30名が残れる決勝に入ることを第一の目標としていたのだが、最終種目のあん馬でミスをしてしまい、決勝に残ることができなかった。この大会は、オリンピックや世界選手権の代表選考でもあるとても大事な試合である。あん馬でミスをしてしまったのは、練習が積めていなかったことが原因だった。試合を想定した練習でも、最終種目のあん馬でのミスというのが出ていた。そのとき練習で出来ていないことは、試合で出来ないと感じたのだが、全日本インカレでも同じようなことでミスをしてしまった。種目は、あん馬ではなくゆかでミスをしたのだが、試合前にアキレス腱を痛めてしまったため、ゆかの練習が思うように出来ていなかった。積み重ねた練習が出来ていなかったため、些細なところでのミスにつながってしまったと感じた。アキレス腱のほかに肩も痛めてしまってつり輪の練習も思うようにできていなかったが、つり輪はほとんど完璧な演技ができ優勝できた。その理由は、日々の積み重ねだと感じる。ゆかの練習も毎日行ってはいたが、技を仕掛けて立てたら良し、通しきれたら良し、といった考えで練習をしてしまっていた。
一方、つり輪は、力技の姿勢と秒数、最後の着地を絶対止めることなど細かいところまで意識をもって、指導者である佐藤先生(佐藤寿治コーチ=1988年ソウル五輪団体銅)のもと練習に取り組んでいた。つり輪が得意種目ということもあるが、その些細な意識の違いで、試合での完成度や結果が大きく変わるのが体操競技だと感じた。全日本インカレでは、個人総合優勝を狙っていたが、最終的な個人総合の順位は8位だった。2022年度は個人総合10位、2023年度は7位だったため、一つ順位を落とす結果となってしまった。しかし、個人総合優勝という高い目標を立てて、日々の練習に取り組んでいたことで、種目別つり輪で優勝につながったとも考えられる。昨年度を通して、技能面で大きく成長したことはあまりないが、今後につながる多くの学びを得た1年となった。練習で取り組めていないことは試合では出せないこと、日々の積み重ねが大事な場面で活きてくることなど、試合を通して改めて学ぶことがあった。また、昨年度はキャプテンとしてチームを引っ張ることで学べることもあった。チームに必要なものは何か、どうしたら強くなるかを考えることで自分も成長していると感じることが多々あった。また、先生や同期、後輩に支えてもらいながらだが、試合に向けてのチーム練習をうまく進めることについても学ぶことができた。これだけ学ぶことができ、成長を感じることができたのは、大学4年間指導にあたってくださった先生方のおかげである。コーチである佐藤先生には、力技の補助や、練習を継続する大切さを教えていただいた。佐藤先生にはとても感謝している。
大学を卒業後もオリンピック出場を目指して競技を続けていく。まずは全日本個人総合選手権で決勝に残り、ナショナル入りすることを第一の目標とし、練習に励んでいきたい。社会人になると、試合の数が減り結果を残せる場が少なくなってしまう。だからこそ、全日本の試合がとても大切になってくるため、昨年の反省を活かし積み重ねた練習が出来るように取り組んでいきたいと考えている。来年度から男子体操競技のルールが大きく変わること、社会人となり体操が部活動から仕事に変わることなど、環境が大きく変化していく。その変化に早く対応し、小さな目標から達成をしていく。そして、今まで指導に当たってくれた指導者や、これまで競技生活を支えていただいた両親の期待に応えられるように、努力していきたいと考えている。
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