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2026.03.09

大阪体育大学60周年記念シンポジウム 「DX?AX」「学生によるICT活用の部活動指導」で活発な討議

 大阪体育大学の開学60周年記念シンポジウム「DX?AXと共に創る、スポーツ分野の教育?研究?社会貢献の未来」が3月6日、大阪市淀川区の大阪ガーデンパレスで開催されました。
 基調講演、現状報告のほか、ソフトバンク株式会社の協力を得てICTを活用した部活動?スポーツ指導にあたっている学生が登壇し、成果を報告しました。

大阪体育大学の一番の財産は元気で意欲的な「学生力」。開学60周年記念シンポジウムで報告、運営にあたった学生の皆さん 【大阪体育大学】

大阪体育大学の一番の財産は元気で意欲的な「学生力」。開学60周年記念シンポジウムで報告、運営にあたった学生の皆さん



大阪体育大学はスポーツSDGsを推進しています

大体大DX?AX検討推進プロジェクトを始動


 大阪体育大学は開学60周年の節目を迎えた2025年、「大体大ビジョン2031」で掲げる「本物」の教育?研究?社会貢献のさらなる充実を目指し、「DX?AX検討推進プロジェクト」を始動しました。
 生成AIやデータ利活用の進展が加速する今、大学には、デジタル技術の活用(DX=デジタル?トランスフォーメーション)と人工知能の活用(AX=AIトランスフォーメーション)を進め、教育?研究?社会貢献を通じて、スポーツを基点とした社会の変化や新たな価値創造に貢献する役割が求められています。

 シンポジウムは大阪体育大学が主催し、ソフトバンク社、富士通株式会社、一般社団法人大学スポーツコンソーシアムKANSAIが後援しました。多数の報道関係者のほか、各大学、大阪府教育庁、徳島県庁などの運動部活動改革の担当者、ソフトバンク社関係者ら約70名が詰めかけました。

会場には多数の報道関係者のほか、各大学、大阪府教育庁、徳島県庁などの運動部活動改革の担当者、ソフトバンク社関係者ら約70名が詰めかけた 【大阪体育大学】

会場には多数の報道関係者のほか、各大学、大阪府教育庁、徳島県庁などの運動部活動改革の担当者、ソフトバンク社関係者ら約70名が詰めかけた

鈴木氏「AI時代の体育大学とは」


 シンポジウムは、神﨑浩学長が「本学はDX、AXを積極的に取り入れ、社会貢献と教育の質を高める取り組みを展開していく」とあいさつを述べて、開会。基調講演として、ソフトバンクの100%子会社であるGen-AXのエバンジェリスト、鈴木祥太さんが「人間とAIが共に創る未来社会」と題して講演しました。鈴木さんは「AI時代に大学は、知識を蓄えるから使いこなす、正解を学ぶから問いを立てる、個人完結から社会との共創を図る場に移行する。また、体育大学はフィジカル×データ×心理を同時に扱うことができ、人間力を最も実装できる場所になるのではないか」と語りました。

神﨑浩学長。「本学はDX、AXを積極的に取り入れ、社会貢献と教育の質を高める取り組みを展開していく」 【大阪体育大学】

神﨑浩学長。「本学はDX、AXを積極的に取り入れ、社会貢献と教育の質を高める取り組みを展開していく」


Gen-AXのエバンジェリスト、鈴木祥太さんが基調講演。「AI時代に体育大学はフィジカル×データ×心理を同時に扱うことができ、人間力を最も実装できる場所になるのではないか」 【大阪体育大学】

Gen-AXのエバンジェリスト、鈴木祥太さんが基調講演。「AI時代に体育大学はフィジカル×データ×心理を同時に扱うことができ、人間力を最も実装できる場所になるのではないか」

トレーニング施設として世界で初めてAI体操採点支援システムを導入


 続いて、「大体大のDX?AXの現在地とこれから」のテーマで現状報告が行われ、大体大DX?AX検討推進プロジェクトリーダーの藤本淳也教授(スポーツマーケティング)がプロジェクトの概要を説明しました。プロジェクトメンバーで体操競技部男子監督の藤原敏行教授(スポーツバイオメカニクス)が、今春、トレーニング施設として世界で初めて導入する富士通株式会社のAI体操採点支援システムについて報告。「これまでの日本の体操界は科学研究と競技現場を取り巻く様々な課題から、科学的知見の活用が十分に行われているとは言い難い状況であったが、大体大DX?AXが体操界に貢献できることは多い」などと話しました。

大体大DX?AX検討?推進プロジェクトリーダーの藤本淳也教授がプロジェクトの概要を説明 【大阪体育大学】

大体大DX?AX検討?推進プロジェクトリーダーの藤本淳也教授がプロジェクトの概要を説明


体操競技部男子監督の藤原敏行教授が世界の大学で初めて導入する富士通株式会社のAI体操採点支援システムについて報告 【大阪体育大学】

体操競技部男子監督の藤原敏行教授が世界の大学で初めて導入する富士通株式会社のAI体操採点支援システムについて報告

J-PEAKSプロジェクトにスポーツツーリズム研究で参画


 また、「地域中核?特色ある研究大学強化促進事業」(J-PEAKS)事業メンバーの浜田拓副学長(運動生理学)と冨山浩三教授(スポーツマネジメント)が「仮想と現実が融合するスポーツツーリズム研究と社会実装」をテーマに報告しました。浜田副学長は「J-PEAKSは文部科学省の支援の下、立命館大学を拠点とした5年間の超大型プロジェクトで、身体圏という新しい領域が研究対象。本学も連携大学として参画している」などと説明しました。冨山教授は「本学はまずスポーツツーリズムの領域で研究を進めていく。様々なアウトドアの活動環境をメタバース空間に再現したり、リアルには体験できないような冒険の極限状態を作り出したりして、心理的な領域で多様な視点からの研究を展開したい」と語りました。

浜田拓副学長。「J-PEAKSは文部科学省が支援する5年間の超大型プロジェクト。大体大も参画する」 【大阪体育大学】

浜田拓副学長。「J-PEAKSは文部科学省が支援する5年間の超大型プロジェクト。大体大も参画する」


冨山浩三教授。「大体大はスポーツツーリズムの領域で研究を進めていく」 【大阪体育大学】

冨山浩三教授。「大体大はスポーツツーリズムの領域で研究を進めていく」

学生シンポジウム「ICT活用成果報告」


 休憩をはさみ、学生によるシンポジウム「スポーツ指導におけるICT活用成果報告」が開催されました。連携協定を結ぶソフトバンク社と大体大が産学連携し、同社のAIスマートコーチとマイクロドローンを活用したスポーツ指導について、以下の4例が報告されました。司会は、小山雪貴乃さん(体育学部4年、兵庫?三田西陵高校)が務めました。

学生によるシンポジウム「スポーツ指導におけるICT活用成果報告」で司会を務める小山雪貴乃さん(体育学部4年、兵庫?三田西陵高校) 【大阪体育大学】

学生によるシンポジウム「スポーツ指導におけるICT活用成果報告」で司会を務める小山雪貴乃さん(体育学部4年、兵庫?三田西陵高校)

徳島?海陽町中学校合同部活動


 笹川和斗さん(体育学部4年、大阪?花園高校)、陽本千咲さん(スポーツ科学部2年、大阪?城南学園高校)が活動を紹介する映像を上映した後、現状と課題を報告しました。
 海陽町では、三浦茂貴町長の「地方でも都会と同じ高いレベルの部活動指導を子どもたちに提供したい」との思いで、大阪体育大学と連携。昨年12月にキックオフイベントとして、学生が1泊2日で同町を訪れ、中学生を指導しました。現在、ICTを活用した具体的な指導の方法について同町と調整を続けています。12月は、同町に加え、隣接する牟岐町立中学の部員たち約20人が集まり、バスケットボール部男子の笹川さん、園田大翔さん(体育学部3年、兵庫?三田松聖高校)、体育実技研究部の冨士本美咲さん(体育学部3年、大阪?堺西高校)、陽本さんが中学生を指導しました。
 シンポジウムでは、陽本さんは「ICT機器を使用することで、学習指導要領が示す思考力や判断力、表現力を養うことができると思う」、笹川さんは「課題として、リアルタイムで対話できないタイムラグやスキル格差、顧問との意思疎通などはあるが、ICTを活用すれば、生徒たちには言葉ではなかなか伝わらなくても、映像でなら伝えることができる」と語りました。

最初に海陽町でのキックオフイベントを映像で紹介 【大阪体育大学】

最初に海陽町でのキックオフイベントを映像で紹介


陽本千咲さん(スポーツ科学部2年、大阪?城南学園高校)。「ICT機器を使用することで、学習指導要領が示す思考力や判断力、表現力を養うことができると思う」 【大阪体育大学】

陽本千咲さん(スポーツ科学部2年、大阪?城南学園高校)。「ICT機器を使用することで、学習指導要領が示す思考力や判断力、表現力を養うことができると思う」


笹川和斗さん(体育学部4年、大阪?花園高校)。「生徒たちには言葉ではなかなか伝わらなくても、映像でなら伝わえることができる」 【大阪体育大学】

笹川和斗さん(体育学部4年、大阪?花園高校)。「生徒たちには言葉ではなかなか伝わらなくても、映像でなら伝わえることができる」

愛媛?松山やまと野球クラブ


 石田空さん(体育学部4年、広島県瀬戸内高校)が映像紹介の後で報告しました。
 松山やまと野球クラブは小?中学生が対象で、硬式野球部男子の石田さん、辻野昂太さん(体育学部4年、大阪?桜宮高校)が昨年8月以降、AIスマートコーチを活用し、関西から子どもたちを遠隔指導しています。小学生からは「アプリを見て自分のプレーを知ることができた」などの感想が寄せられています。
 石田さんは動画による遠隔指導で、重心が前のめりだった打撃フォームを改善した事例やチャットによる指導を紹介し、「ICTの活用で子どもたちの成長を可視化することができ、子どもたちの主体性や意欲の向上につながった」と話しました。

クラブの子どもたちがみんなで、タブレットの映像を食い入るように見つめる映像が紹介された 【大阪体育大学】

クラブの子どもたちがみんなで、タブレットの映像を食い入るように見つめる映像が紹介された


石田空さん(体育学部4年、広島県瀬戸内高校)。「ICTを使うことで、子どもたちの主体性や意欲の向上につながった」 【大阪体育大学】

石田空さん(体育学部4年、広島県瀬戸内高校)。「ICTを使うことで、子どもたちの主体性や意欲の向上につながった」

大阪暁光高校アルティメット部


 家村かなとさん(体育学部3年、兵庫?六甲アイランド高校)、片岡美琴さん(体育学部3年、名古屋経済大学市邨高校)が映像を紹介しながら報告しました。
 大阪暁光高校アルティメット部は全国大会に出場する強豪で、昨年12月以降、より効果的な部活動指導につなげるため、ソフトバンク社から紹介を受けた、ドロカツを運営するHDL合同会社などの協力を得て、練習ゲームをマイクロドローンでプレーヤー目線で追跡し、撮影しました。
 撮影に参加した家村さん、片岡さんは「プレーヤー目線でプレーを確認することで、『なぜ失敗したか』ではなく『次どうするか』という前向きな議論につながり、選手主体の学びや気づきが生まれた」と感想を語りました。

マイクロドローンで撮影した練習が映像で紹介された 【大阪体育大学】

マイクロドローンで撮影した練習が映像で紹介された


家村かなとさん(体育学部3年、兵庫?六甲アイランド高校、右)、片岡美琴さん(体育学部3年、名古屋経済大学市邨高校)。「ドローン映像を見ることで選手同士の前向きな議論につながり、選手主体の学びや気づきが生まれた」 【大阪体育大学】

家村かなとさん(体育学部3年、兵庫?六甲アイランド高校、右)、片岡美琴さん(体育学部3年、名古屋経済大学市邨高校)。「ドローン映像を見ることで選手同士の前向きな議論につながり、選手主体の学びや気づきが生まれた」

大阪府忠岡町立忠岡中学校ソフトテニス部


 花見佳音さん(体育学部3年、大阪?今宮高校)が報告しました。
 ソフトテニス部女子の花見さんは大阪府忠岡町立忠岡中学で、昨年12月からソフトテニス部を外部指導者の立場で指導しています。
 花見さんは今年9~10月に予定しているAIスマートコーチを使った実践計画を報告。「学校と意思疎通を図ったうえで生徒に計画を説明し、実践し、改善点を探したい」と話しました。

花見佳音さん(体育学部3年、大阪?今宮高校)。「今後、AIスマートコーチを使った指導を実践していきたい」 【大阪体育大学】

花見佳音さん(体育学部3年、大阪?今宮高校)。「今後、AIスマートコーチを使った指導を実践していきたい」

クロストーク 自治体、新聞社から活発な質問


 後半のクロストークセッションに移り、折野歩菜さん(体育学部4年、兵庫?神戸龍谷高校)が進行を務めました。

学生からの報告が終わると、クロストークセッションに。司会は折野歩菜さん(体育学部4年、兵庫?神戸龍谷高校)が務めた 【大阪体育大学】

学生からの報告が終わると、クロストークセッションに。司会は折野歩菜さん(体育学部4年、兵庫?神戸龍谷高校)が務めた

 シンポジウムには、海陽町、松山やまと野球クラブ、大阪暁光高校の関係者や自治体の部活動地域展開の担当者らが参加しました。海陽町教育委員会の森﨑忠憲教育次長は「大学生からAIスマートコーチを活用して指導を受けたことで、子どもたちには自分たちでやってみようという動きや気づきが生まれている」としたうえで、学生に「実際に指導する時にどのような点に注意されるか」と質問。笹川さんが「遠隔になるので一方的に教えるのではなく、生徒の意見をしっかり聞きたい」、陽本さんは「子どもたちが何を課題にしてどういうことを求めているのかをくみ取りたい」と答えると、森﨑さんは「大阪体育大学、ソフトバンクとの取り組みは県内でも高く注目されている。これから新たな海陽モデルとして進めていきたい」と抱負を語りました。

クロストークセッションでは学生が部活動指導を実施している多数の自治体関係者、新聞記者から活発な質問や意見が寄せられた 【大阪体育大学】

クロストークセッションでは学生が部活動指導を実施している多数の自治体関係者、新聞記者から活発な質問や意見が寄せられた

 松山やまと野球クラブの山路隆成コーチは「子どもたちが動画を見て、どこを改善していこうなどと話し合う様子が多くみられるようになったことが一番の成果。オンライン指導はすぐには修正できずタイムラグの課題があるが、何度も動画を見返して可視化されることで、自分が言われていることが分かる良さもある。大学生と連携することで新しい指導の方法を考えていきたい」と話しました。

 大阪暁光高校アルティメット部顧問の永野慎一教諭は「ドローンによる撮影はこの競技にとってとても有効で、未経験者への指導にも役立つと思う」と話しました。
 また、大体大の学生が部活動指導にあたった芦屋市教育委員会、大阪府立すながわ高等支援学校や大阪府教育庁からの意見のほか、取材に訪れた新聞社からも活発な質問が寄せられました。

 折野さんは「私自身も部活動指導員を務めていて、DX、AXを用いることで生徒たちから意見が出たり笑顔が生まれたりする場面が多くみられると思う。今後も生徒目線で考えることを意識しながら、子どもたちの挑戦の幅を広げられるような実践をしたい」とクロストークを締めくくりました。

 最後に植木章三副学長があいさつをして閉会しました。

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